〜 第2日目 〜
旅日記その2をお送り致します。

オランダの街並みはレンガ造りの建物が何となくちんまりして、色もいわゆるレンガ色、赤茶とか黄色っぽい茶色で温かい感じがする。あれは石材が手に入らなかったオランダ人が干拓によって水を取り去った後に残った泥土を焼いたのだそうな。見事な廃物利用!家の形も玩具みたいで可愛らしい。窓のカーテンをほとんど開け放って、「あれじゃ、丸見えじゃん。」それでいいのですって。家の内外を内装や家具、ガーデニングで飾り、「私の作品を見て下さい。」と言っているのですって。家は、冬が長く、屋内で過ごす時間の長い国の人達の作品で、ラテン系の人達のように衣、食にはお金を掛けず、家につぎ込むのだそうです。

いよいよベルギーに入った。とたんに街並みは白っぽいグレー、青っぽいグレー、緑っぽいグレーに変わった。レンガの国から石の国に来たのが分かる。オランダもベルギーも山がない平野の国、街を離れたと思ったらすぐ、一面の草地で牛や馬がのんびり草を食んでいる牧歌的な景色が目に飛び込んで来る。どこまで行っても人家が途切れない日本とは違う。田舎っぽくて好きだなあ。それにしてもまっ平ら!どこまでもまっ平ら!

10月26日(土)アントワープ--ブルージュ--オステンド

アントワープを早々に発って、旧都ブルージュへ向かう。ここは今回の旅で私が一番楽しみにしていた所、街ごと世界遺産。小さな街で、昔は商業都市として栄えていたけれど、海への運河が土砂に埋まり、その地位をアントワープに奪われ、衰退の一途をたどった。「死都ブルージュ」。ところが、これが功を奏したのです。美しい街並みは観光都市として蘇り、いまや世界遺産!よかったね。ヨーロッパ版京都。市庁舎、教会、修道院、ギルドハウス、市場、ビールの醸造所、一般市民の家々、本当に美しく愛らしい。石畳の道を観光客を乗せて馬車が走り、運河には小さな観光船が浮かんでいる。夢のような箱庭みたいな街、何だか優しい気持ちになる。日本人に人気が高いというのもうなずける。「ベギン会修道院」へ行った。その昔は未婚の女性の避難場所。結婚しなければ食べていけない当時の女性達に救いの手を差し伸べた所。オードリー・ヘップバーンの「尼僧物語」の舞台でもあり、ご婚約前の美智子皇后が聖心会の計らいで日本のマスコミから逃れて、一時身を寄せていらっしゃった所。悩まれて、迷われて、そして「結婚」という答えを出されたのだろうか。春には一面水仙が咲き乱れるという前庭は落ち葉で黄色に染まっていた。本当に静かな、静かな所。国は違っても、女性達の悲しみや苦しみや悩みに変わりはない。忍び泣きやため息が聞こえてきそうな所。笑い声は想像できなかった。

オステンドは北海に面したリゾート地、今日は全室オーシャンヴューのリゾートホテルにご宿泊です。九十九里浜みたいな海岸は、強風で砂嵐状態。でも、頑張って夕方散歩した。寒いの何のって。鼻千切れそう。港にはイギリスへ向かう船が停泊していた。防風壁には五線譜が。何あれ?でも、ちゃんとメロディーになってる。わっ、ジャック・ブレルの「平野の国」だ。わぁー、本当に「平野の国」だ。感激!ジャック・ブレルはベルギー生まれのシャンソン歌手です。「平野の国」とジャック・ブレルについては次回ブリュッセル編でたっぷりとご報告します。

夕食は海辺のレストランで。ブイヤベースみたいなスープがとても美味しかった。お肉のクリーム煮みたいな料理が続いたので、いっそう美味しく感じた。次のお肉料理はいらないからスープもう一杯欲しかったなぁ。

波の音は子守唄、枕が変わって眠れないなんてこと、今回は全然ないみたい。

本日はこれまで。次回はオステンドからゲント、ブリュッセルまで行きます。