〜 中休み 〜
旅行は3度楽しい。本当ですね。旅行前(準備)、旅行中(本番)、帰宅後(思い出)。今、皆様が読んでくださると思うと、ついつい嬉しくなって、あれもこれもと書いてしまいます。帰宅後(思い出)の楽しみにドップリ浸っています。私の自己満足の世界ですが、もうしばらくお付き合い下さい。皆様の忍耐強さに心より感謝します。

パリ編に行く前に、どうしても欲しかった「飴色イコン」の話を聞いてください。

ブレルの「平野の国」には渡辺歌子さんの美しい訳詞があります。私は原詞を知りませんが、この訳詞は一つの作品としてとても好きなので、最後の一番いいところだけご紹介させてください。

手紙も途絶え 顔さえ薄れ
憧れだけが 切なく募る
手元に残る 飴色イコン
遠つ国からの 贈り物
海を隔てて はるか離れた
まだ見ぬ国を 想い焦がれる
そこは あなたの国

この歌に出会った頃、私は北欧材を扱う商社に勤めていました。取引先のフィンランド企業が日本支社を立ち上げるに当たって協力して欲しいという申し入れがあり、私はフィンランド人の同僚と共に転職しました。本社から33歳の若者が支社長として赴任し、同僚31才、私48歳、私の使命は社長曰く「ヤングボーイズの暴走をチェックし、日本の商習慣、生活習慣を彼らにしっかり教えなさい。」3人で何も分からぬまま、ただ無我夢中で走り続け、2年後支社長はキャリアウーマンの奥様のため、大きな思いを日本に残して母国フィンランドに帰国しました。彼はある程度の結果が出るまでまだ日本で仕事がしたかったのです。とても素朴で、誠実で、日本人がもう亡くしてしまったひたむきさを持った素敵な若者でした。私には職場に二人の息子がいます。ハンヌとヨウニ。彼等が生まれ育った国フィンランドは私にとってまさに想い焦がれるまだ見ぬ国なのです。フィンランドとベルギー、国は違ってもこの歌は私の心に染みていきました。

帰国の折、ハンヌが私に残してくれたのはフィンランドのお人形でした。彼の奥様やお嬢ちゃんによく似た可愛い西洋人形、自室のテレビの上に飾ってあります。

さて、「飴色イコン」これが長いこと気になって、気になって仕方なかったのです。私はお人形だったけど、この歌ではイコン。「手元に残る」とあるのでそう大きいものではないでしょう。で、この旅で何としても「飴色イコン」を探そうと思い立ったのです。私自身とやはりこの歌が大好きな友人へのお土産にしようと思って。どこか蚤の市のような所かアンティークを扱うお店にでも行かないとだめかなと思いながら探しました。オランダでは見つかりません。やっぱりベルギーだ。ありました、ありました。ゲント・聖バーフ大聖堂の売店で見つけました。もし肌守りのような形で持つとしたら、これかなと思える小さなイコンがありました。決して高価なものではありませんが、私には宝物。今度皆様にもお見せしますね。「なぁ〜んだ。」と思われるかもしれませんが、私には宝物。

それで、ブリュッセルのディナーショーで急性不安神経症のようになっていた私は、この「飴色イコン」をポケットに忍ばせて「平野の国」を歌ったのでした。

おしまい